令和6年度報酬改定において運営基準(※)が改定され、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所に対し、障がい児等の意思の尊重、こどもの最善の利益の優先考慮の下で、個別支援計画の作成、個別支援会議の実施、支援の提供を進めることが求められるようになりました。
(※)児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
なお、こども家庭庁より、放課後デイなどの支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮に関した「子どもの最善の利益の考え方や取組の留意点などを示した手引き」が令和6年度早期に出される予定となっていますが、現段階では出されておりません(令和6年4月18日現在)。
【改定ポイント】
■障がい児支援におけるこどもの最善の利益を保障するため、指定児童発達支援事業者に対し、障害児と保護者の意思を尊重するための配慮を求めるとともに、児童発達支援管理責任者に対し、以下の2点を求める。
①個別支援計画の作成に当たり、障害児の意見が尊重され、最善の利益を優先して考慮すること
②業務を行うに当たり、障害児と保護者の意思を尊重するよう努めること
■ 「最善の利益が優先して考慮」されるとは、「障がい児にとって最も善いことは何か」を考慮することをいう。障がい児の意見がその年齢及び発達の程度に応じて尊重すべきものと認められる場合であっても、別の考慮要素と比較衡量して合理的に判断した結果、障がい児にとって最善とは言い難いと認められる場合には、障害児の意見とは異なる結論が導かれることはあり得る。
■個別支援計画の作成にあたっての個別支援会議における、「障害児の意見が尊重され、その最善の利益が優先考慮される体制」の確保として、障害児の年齢や発達の程度に応じて、障害児本人や保護者の意見を聴くことが求められる。例えば、会議の場に障害児と保護者を参加させることや、会議の開催前に 担当者等が障害児や保護者に直接会うことなどが考えられる。その際、言葉だけでなく、身体の動きや表情、発声なども観察し、意見を尊重することが重要である。
■児童発達支援管理責任者は、従業者に対しても、障害児及びその保護者の意思をできる限り尊重する観点から必要な助言・指導等を行うことが求められる。これらを適切に行うため、専門コース別研修の意思決定支援コース及び障害児支援コースを受講することが望ましい。
■本人の意思に反する異性介助がなされないよう、個々の障害児の年齢等に応じて、児童発達支援管理責任者等が支援の提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえた支援の提供体制の確保に努めるべきものであること。
■一方で、相談支援事業者に対しては、障害児等の意思の尊重、こどもの最善の利益の優先考慮の下で、障害児支援利用計画の作成、サービス担当者会議の実施を進めること。障害児支援利用計画の作成や必要な情報の提供・助言等の援助を行うにあたって、インクルージョンの観点を踏まえること等、インクルージョンの推進に努めることを求めている。
以下、運営基準の条文ですが、第71条、第71条の14、第79条により、指定放課後等デイサービス事業、指定居宅訪問型児童発達支援事業、指定保育所等訪問事業についても準用されます。
○指定児童発達支援事業者は、障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害児及び通所給付決定保護者の意思をできる限り尊重するための配慮をしなければならない。(第26条第2項・新設)
〇児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、(中略)障害児の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう障害児の発達を支援する上での適切な支援内容の検討をしなければならない。(第27条第2項・ 見直し)
〇児童発達支援管理責任者は、児童発達支援計画の作成に当たっては、障害児の意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮される体制を確保した上で、 障害児に対する指定児童発達支援の提供に当たる担当者等を招集して行う会議を開催し、児童発達支援計画の原案について意見を求めるものとする。(同上 第5項・見直し)
〇児童発達支援管理責任者は、業務を行うに当たっては、障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害児及びその保護者の意思をできる限り尊重するよう努めなければならない。(第28条第2項・新設)