令和6年4月より、児童発達支援・放課後等デイサービスは5領域全てに沿った療育をしなければならなくなりました。事業者は、5領域との関連性を明確にした(1)「支援プログラム」と(2)「個別支援計画書」を作成する必要があります。この記事では(1)支援プログラムについて詳細に記載しています。
(2)5領域に沿った個別支援計画書は→こちら
■「支援プログラム」は、令和6年度中にインターネット等で公表かつ届出をしなければ、令和7年度4月以降、児童全員分15%も減算されますので、対応しなければ経営危機につながりますので必ず行いましょう。こども家庭庁より、「支援プログラム未公表減算」届出書が公開されましたので、以下に届出書の記載内容を掲載いたします。
支援プログラムの届出内容
・公表時期(令和6年□月)
・公表方法(インターネット or その他)
・公表内容(公表がインターネットであればURL記載必要、その他であれば詳細記入必要)
また併せて、留意すべき点が備考に記載されており、非常に大事な点であり以下の3点になります。
①支援プログラムの公表については、届出がされていない場合に減算する。
②減算は届出がされていない月から届出がされていない状態が解消されるに至った月まで、障害児全員について減算する。
③届出がされていない場合であっても令和7年3月31日までの間は減算されないが、総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、速やかに取組を進める必要がある点に留意。
なお、「支援プログラム」は、事業所が提供する発達支援における基本的考え方や支援の内容、関係機関連携や家族支援、インクルージョンの取組等の事業所の支援の全体像と方針について整理して記載することや、事業所の従業者の意見も聞いて作成することも求められています。
■「支援プログラム未公表減算」届出書
法人名 | |||||||||
事業所名 | |||||||||
サービスの種別 | ①児童発達支援 ②放課後等デイサービス ③①・②の多機能 ④居宅訪問型児童発達支援 | ||||||||
事業所所在地 (区市町村名) | |||||||||
指定年月 (児童発達支援) | 年 月 | 指定年月 (放課後等デイサービス) | 年 月 | ||||||
支援プログラム 【公表状況】 | |||||||||
公表の実施時期 | 年 月 | ||||||||
公 表 方 法 | ① インターネット ② その他( ) | ||||||||
①の場合は公表内容欄にURLを記載、②の場合は公表内容欄に詳細を記載 | |||||||||
公 表 内 容 | |||||||||
1 支援プログラムの公表については、都道府県に届出がされていない場合に減算することとなる 2 減算は、届出がされていない月から届出がされていない状態が解消されるに至った月まで、障害児全員について減算する 3 都道府県に届出がされていない場合であっても令和7年3月31日までの間は減算されませんが、総合的な支援と支援内容の見える化を進める観点から、速やかに取組を進める必要がある点に留意 |
支援プログラムの作成・公表ポイント
・事業所としての5領域にかかる支援プログラムを作成して、公表しなければなりません。
・支援プログラム作成の目的は、「事業所における総合的な支援の推進と、事業所が提供する支援の見える化」ですので、各事業所において創意工夫して支援プログラムを作成をして公表することになります。
・様式は任意であり、それぞれの事業所が、様々な形式により作成して差し支えないとされています。
・書面による作成ではなく、事業所のホームページ等において必要な内容を示すことでも可とされています。
(例)
・領域ごとの欄を設け、関連する支援内容を記載する方法
・記載されている支援内容に対して、各領域を関連付ける方法
・クラス分けを行っている場合、5領域と支援内容の関連性についてクラスごとに記載する方法
・活動プログラムを記載して、それぞれの活動の支援内容と5領域の関連性について記載する方法
・イラストを載せて、支援内容と5領域の関連性や、支援の目的等を記載する方法
以下は、支援プログラムの記載ポイントとしての一例です。
(1)事業所における基本情報
① 事業所名
②作成年月日
③事業所理念
④支援方針
⑤営業時間
⑥送迎実施の有無
(2)本人支援の5領域項目支援内容
①健康・生活
〇健康状態の維持・改善
〇生活習慣や生活リズムの形成
〇基本的生活スキルの獲得
〇生活におけるマネジメントスキルの育成
②運動・感覚
〇姿勢と運動・動作の基本的技能の向上
〇姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用
〇身体の移動能力の向上
〇保有する感覚の活用
〇感覚の特性への対応
③認知・行動
〇認知の特性についての理解と対応
〇対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得
〇行動障害への予防及び対応等
④言語・コミュニケーション
〇コミュニケーションの基礎的能力の向上
〇言語の受容と表出
〇コミュニケーション手段の選択と活用
〇状況に応じたコミュニケーション
⑤人間関係・社会性
〇情緒の安定
〇他者との関わり(人間関係)の形成
〇遊びを通じた社会性の発達
〇自己の理解と行動の調整
〇仲間づくりと集団への参加
(3)家族支援
〇アタッチメント(愛着)の安定
〇家族(きょうだいを含む。)からの相談に対する適切な助言等
〇障害の特性に配慮した家庭環境の整備
(4)移行支援
〇保育所・放課後児童クラブ等への移行支援
〇ライフステージの切替えを見据えた将来的な移行に向けた準備
〇放課後児童クラブ等と併行利用している場合における併行利用先との連携
〇地域とつながりの取組(地域の保育所等、児童館、地域住民との交流・行事等)
(5)地域支援・地域連携
○保育所・学校・医療機関等との情報連携や調整、支援方法や環境調整等に関する相談援助等の取組
(6)職員の質の向上
○事業所内研修・外部研修の派遣など
○療育・制度、5領域等にかかる読み合わせ等
(6)主な行事等
○行事だけでなく、通常の活動において季節に合わせた活動も記載可(節分、ひな祭り、クリスマス会、夏の水遊び等、季節に応じた活動など)
【ご参考】5領域の具体例
以下は、5領域に分けて具体例を示していますが、本来、5領域はそれぞれが独立しているものではなく、相互に関連して重なりあっている点にご留意ください。5領域を網羅した支援をする際には、「自立支援と日常生活の充実のための活動」・「体験的な活動や遊び」・「地域交流の機会の提供」・「こどもが主体的参画できる機会の提供」の4つの基本活動を複数組み合わせて支援を行うことが求められていますので、これらを意識して支援プログラム・個別支援計画に反映するようにしましょう。
①健康・生活
・定期的な心身の把握(毎回体温測定・気分把握)
・生活リズムの安定(定期的かつ定時に通所)
・構造化を意識した部屋のレイアウト・掲示・支援
(視覚的に「何がどこにあるか」「どこで何をするか」を絵などを使い具体的に表示)
・SST、ABAなどによる身体的、精神的、社会的訓練
②運動・感覚
・ストレッチ、ラジオ体操、軽い運動
・バランスボールでの姿勢保持
・音楽に合わせて体を動かす遊びや運動
・感覚過敏用のイヤーマフ配備など環境設定
③認知・行動
・天気、気温、日付の把握と確認による感覚・数の認知形成
・1日の時間帯別活動を示すタイムテーブルの確認による時間の認知形成
・粘土、スライムによる物質の変化と感覚の認知形成
・ブロック遊びによる空間把握の認知形成
・小集団でのゲームでの適切な行動形成、認知の偏りの配慮
・感覚、認知の偏りに対するリフレーミング
・季節の変化への興味などの感性形成のための外出・行動
④言語・コミュニケーション
・はじまりの会で今日の気分・気持ちをプレゼンテーションして言語表出・受容
・終わりの会で活動振り返りと気持ちをプレゼンテーションして言語表出・受容
・個別または小集団での障害の特性に応じた読み書き
・ルールなどを絵や絵カードを使って視覚化
⑤人間関係・社会性
・アタッチメント形成(面談で自尊心を高める・認める)
・見立て遊び、つもり遊び、ごっこ遊びの組み合わせ
・一人遊び、並行遊び、連合的な遊びの組み合わせ
・役割分担のある遊びなどの協同遊び
・ルールの理解が必要な遊びや集団活動
・イベントなどを通した地域との交流
【ご参考】加算の届出一覧(R6.9/29現在)
加算の届出様式一覧https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/hoshukaitei/kasan
・【統合版】通所関係の届出様式
・支援プログラム未公表減算
・中核機能強化加算・中核機能強化事業所加算
・児童指導員等加配加算
・専門的支援体制加算
・看護職員加配加算
・食事提供加算
・専門的支援実施加算
・強度行動障害児支援加算(通所関係)
・人工内耳装用児支援加算
・視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算
・入浴支援加算
・送迎加算
・延長支援加算
・共生型サービス体制強化加算・共生型サービス医療的ケア児支援加算
・個別サポート加算(Ⅰ)(放課後等デイサービス)
・訪問支援員に関する届出(訪問支援員特別加算・多職種連携加算・ケアニーズ対応加算)
・日中活動支援加算
・強度行動障害児特別支援加算
・要支援児童加算・心理担当職員配置加算
・小規模グループケア加算
・障害者支援施設等感染対策向上加算
・地域生活支援拠点等に関連する加算の届出
・地域生活支援拠点等機能強化加算
・主任相談支援専門員配置加算
・行動障害・要医療児者・精神障害者・高次脳体制加算
・ピアサポート体制加算