児童発達支援、放課後等デイサービスの開業に向けて、最も重要となる開業資金の目安・確保、及び開設に絶対に必要となる指定権者の指定に関する基準についてまとめております。
【ポイント】
1.開業資金の目安・確保
2.指定権者(自治体)の指定基準
①法人基準(法人格)②設備基準③人員基準④運営基準
開業資金の目安
放課後デイの開業資金は、どこまでこだわるか、こだわらないかで大きく変動します。以下の開業資金は、あくまでも目安であり規模は定員10名以下で想定しています。また開業地域によっても大きく異なりますが、できるだけ開業資金を少なめにしてスタートするにしても約800万円くらいかかり、標準的な目安としては約1,600万くらいは確保して置く必要があります。
■放課後デイならではの開業ポイント(障害福祉事業)
・開業前の家賃が約3ヶ月分も必要(指定申請をする前に不動産契約が必要なため)
・入金が約3ヶ月も遅れる(国保連からの給付金の入金が翌々月中旬なため)
上記ポイントのように、放課後等デイサービスなど障害福祉事業を開業するためには、初期費用が想定以上に多くかかることになります。
以下に、内訳を記載していますが、とりわけ不動産テナントの賃貸価格は、物件の広さはもとより、どこの地域で開業するかで大幅に変動します。また不動産の慣習も地域で異なるため、敷金が1ヶ月の地域もあれば、最低でも6ヶ月の地域もあり大幅に変動します。以下は、あくまでも目安です。
自分たちがどこにこだわり、どこのコストを抑えるかの検討材料として見てください。
■イニシャルコスト(初期費用)目安
少なめ | 標準 | 多め | |
法人設立費用 | 30万 | 40万 | 60万 |
指定申請費用 | 20万 | 40万 | 80万 |
開設前家賃(3ヶ月分) | 45万 | 75万 | 120万 |
開設前光熱(3ヶ月分) | 1万 | 6万 | 10万 |
不動産仲介料(1ヶ月分) 礼金(2ヶ月分) | 45万 | 75万 | 120万 |
敷金(3ヶ月分) | 45万 | 75万 | 120万 |
内装工事 | 100万 | 200万 | 600万 |
送迎車両 | 200万 | 400万 | 800万 |
車保険 | 10万 | 15万 | 20万 |
採用費(職員募集) | 50万 | 150万 | 300万 |
広告費(利用者募集) | 30万 | 50万 | 150万 |
備品(器具・教材費含む) | 50万 | 100万 | 150万 |
HP作成費 | 30万 | 50万 | 150万 |
賠償保険 | 10万 | 20万 | 30万 |
火災保険 | 2万 | 4万 | 6万 |
給料(3ヶ月分) 開業前1ヶ月・後2ヶ月 | 150万 | 300万 | 450万 |
光熱費(開業後2ヶ月分) | 4万 | 6万 | 10万 |
計 | 約800万 | 約1,600万 | 約3,200万 |
上記は、国保連から1回目の給付金が入るまでに必要な開業時に必要なイニシャルコスト(初期費用)であり、それ以降のランニングコスト(運転費用)は入っていないので、ランニングコストを考慮すると、最低でも1,000万、標準なら2,000万は確保しておくことが懸命です。
そのためには、自己資金だけに頼るのではなく、融資制度を使うことも検討して、創業前から早めに金融機関等に相談していくことが必要となります。
■新規開設時の創業に関する融資制度
- 日本政策金融公庫の創業融資制度
融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
担保・保証人:どちらとも無し - 自治体の中小企業向けの制度融資
自治体と金融機関と信用保証協会の三者が協調して融資する制度。自治体が金融機関の貸付原資の一部、信用保証協会に支払う保証料の一部を負担。融資限度額、利率、返済期間等の条件は自治体により異なります。 - (独)福祉医療機構の福祉貸付事業
融資の対象や資金の種類等によって融資限度額、利率、返済期間等の条件が異なります。
指定基準①法人基準(法人格)
○ 株式会社、合同会社、NPO法人など法人格が必要
× 個人事業主は開設できません。
法人格の詳細な説明はこちら
障害福祉事業の法人を設立する際、定款の目的にはサービスに応じて障害福祉サービス等の事業を行うための記載が必要となります。例えば、児童発達支援施設や放課後等デイサービスの指定申請において、定款の目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」の記載がなければなりません。
定款の記載の詳細な説明はこちら
指定基準②設備基準(物件・不動産)
- 指導訓練室(利用者1人2.47㎡→10人定員24.7㎡以上)30㎡以上の自治体も多い
- 相談室・静養室(プライバシーが確保できること)
- 洗面所・トイレ
- 建築基準法、消防法の基準を満たす必要があります。
設備基準の詳細な説明はこちら
指定基準③人員最低基準(例:定員10名以下)
- 管理者 1人(兼務可能)
- 児童発達支援管理責任者 1人(専任かつ常勤)
- 保育士・児童指導員等 2人以上
- ①1人以上は常勤(就業規則等で定める常勤者の所定労働時間(下限32h)以上)
- ②半数以上は保育士・児童指導員
- ③非常勤はサービス提供時間を通じて配置
指定基準④運営基準
事業所ごとに、重要事項に関する運営規程を定める必要があります。
- 事業の目的及び運営の方針
- 営業日・営業時間
- 利用定員
- 利用者の費用の種類・金額
- サービス提供内容
- サービスの利用の留意事項
- 緊急時対応
- 非常災害対策
- 虐待防止措置 など
運営規程の詳しい説明はこちら
指定申請書類(厚生労働省)
以下は、厚生労働省の雛形(令和6年4月12日公表)になります。基本は厚生労働省の雛形ですが、指定権者によって書式が異なりますので、必ず指定権者に確認しましょう。
1 | 従業者の勤務の体制及び勤務形態 |
2 | 登記事項証明書又は条例等 |
3 | 事業所の平面図 |
4 | 設備の概要 |
5 | 管理者・児童発達支援管理責任者の経歴書 |
6 | 利用者又はその家族からの苦情を解決するために講ずる措置の概要 |
7 | 誓約書 |
8 | 運営規程 |
9 | 協力医療機関との契約の内容 |
10 | その他指定に関し必要と認める事項 (例)従業員の資格証明書の写し・主たる対象者特定の理由書・社会保険及び労働保険への加入状況に係る確認票・収支報告書・賃貸借契約書 |
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