令和6年度(2024年度)の報酬改定により、放課後等デイ・児童発達支援施設において、常勤でなくても短時間勤務の心理担当職員を配置して、個別支援計画を策定・専門支援(30分以上)を実施でも、専門的支援【実施】加算(150単位/回)が取れるようになりました。専門的支援[体制]加算を取っていなくても、専門的支援【実施】加算の算定は可能です。専門的支援[体制]加算は基準人員+常勤換算1以上必要となりますので混同しないように留意してください。
心理指導担当職員は、心理学の専門的な知識を用いて、障がいなど困り感を抱える子どもの支援や助言をします。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は国家資格であるので明確ですが、心理担当職員は国家資格の「公認心理師」以外は明確ではありません。民間資格でも「臨床心理士」は大学院・心理学修了が前提の資格なので概ね認められていますが、大学の心理学専修を証する「認定心理士」だけでは認めない自治体も多々ありますので照会が必要です。
【心理担当職員の定義】(平成 24 年厚生労働省告示)
①大学・大学院において心理学を専修する学科・研究科の卒業者であって、
②個人及び集団心理療法の技術を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者
令和3年度の報酬改定以降は、この告示に基づく運営が徹底されています。しかしながらこの告示の記載ぶりでは、解釈の余地が大きいため、指定権者により解釈が異なることに留意が必要です。(指定権者に確認を取るようにしましょう)
以下の条件①かつ②を満たすことが必要なので①を満たしていも、②を満たさなければ心理指導担当職員として認められません。
条件①大学・大学院において心理学を専修する学科・研究科の卒業者
・心理学部、心理学科、□□心理学科を卒業→○
・行動科学科、人間システム科学科など心理学専修とみなせる学科→△(照会必要)
・心理学の単位取得のみ→×
(心理学の単位を複数取っていても心理学専修でなければ認められない)
条件②個人及び集団心理療法の技術を有する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者
条件①よりも解釈の余地が多く、条件②を具体的に示していない指定権者が多いため、指定権者への確認が必要になります。
②の条件を具体的に求めている指定権者(厳しい解釈運用)の例
【東京都】
公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士
【大阪府】
心理に関する専門的な技術をもって実施する企業等での個別相談の経験、講習や講義の講師としての経験を、在籍していた企業等が発行する証明書により確認
【千葉県】
学歴は問わず、公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士
(ご参考)心理指導担当員の強み
心理指導担当員は、子どもが抱える感情的な課題や困難に対して、短期的または長期的なアプローチで解決に向けて適切な支援ができます。認知行動療法などの心理療法等を用いて、より深く課題解決や成長を促す支援ができます。
①発達段階に合わせた個別支援
心理指導担当員は、発達心理学・臨床心理学等の専門知識に基づき、子どもの年齢や発達段階に合わせた個別支援を提供することができます。乳幼児期から成人するまでの各段階における発達課題や特性を理解した上で、一人ひとりのニーズに寄り添った支援を行うことが可能です。
(ご参考)放課後デイの参考となる心理学→こちら
②アセスメントによる課題の把握
心理検査や行動観察など様々な方法を用いて、子どもの発達状況や行動パターンを客観的に評価します。得られた情報に基づいて、課題や強みを多角的に分析し、個別支援計画に反映します。
③専門的個別支援計画の作成と実行
専門的個別支援計画とは、通常の児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画とは別に、心理指導担当員が子どもの課題克服と成長促進のための具体的な支援内容を計画したものです。心理指導担当員が、子どものニーズと目標を踏まえた上で、児童発達支援管理責任者をはじめ関係者と連携しながら専門的個別支援計画を作成し、実行していきます。
④心理指導・心理療法の実施
放課後デイでは、認知行動療法や応用行動分析による心理指導や心理療法がメインとなります。そのほかにもプレイセラピー、アートセラピーなど、様々な心理療法を実施することで、子どもの心の問題や行動課題の改善を支援します。心理療法は、個別に設定された目標に基づき、段階的に進めていきます。行動に課題がある場合は、行動を客観的に観察・評価し、行動のパターンや傾向を分析します。行動がどのような状況で発生しやすいか、どのような要因や環境が影響しているかを把握し改善を検討します。環境調整に加えて、感情や行動を調整できるスキルやリラックス技法なども組み合わせることで、課題に対処する支援方法を提案することができます。
⑤保護者への更なる支援
専門的個別支援計画策定時、振り返り時に、子どもの発達状況や課題について保護者に説明し、課題を共有します。保護者やきょうだいが抱えるストレスや感情的な課題や症状に対して、カウンセリングや心理療法により適切な支援ができます。心理指導を実施することで、障害への理解や受容が進み、子どもとの適切な距離感や成長にあわせた悩みをサポートして行くことができます。